文部科学委員会 令和4年4月6日
○岬委員 皆様、お疲れさまでございます。日本維新の会、岬麻紀でございます。
早坂議員に続きまして、質問をさせていただきます。
本日は、教員免許法等の改正案について午前中から質疑が続いております。様々な質問が先生方から寄せられていますが、本日、午前中に、ヤンキー先生という大変懐かしい言葉が出てまいりまして、改めて、義家委員長の豊かな経験と知見をお持ちの中で、いま一度思い出したことがあります。
恩師から、あなたは私の夢だからという言葉がありました、教育の道を歩もうと決意をされたというエピソードがございます。改めて、教員のすばらしさ、そして重要性を物語るエピソードではないかと思い、このお話をさせていただきました。その気持ちを忘れることなく、教員の重要性を感じながら質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
さて、教員免許更新制度の廃止ということなんですけれども、講習の負担の軽減ですとか内容の充実などを図る、そして、オンラインでの受講を拡充するですとか費用を公費負担にするなど、いろいろな工夫で存続させることはできなかったのかなと少し残念にも思っております。また、更新講習が教育現場に役立ったという意見も約三割はございますので、必ずしも負の側面ばかりではなく、プラスの面もあったのではないかと思っております。
さて、平成二十一年の教員免許更新制度の導入の背景には何があったのかと、いま一度復習をしてみました。教員の質の向上と併せまして、学校不信の払拭もあったかと思います。
そこで、大臣にまずは質問をさせていただきます。
この教員免許更新制度というものは、自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得ていく制度とうたっていらっしゃいます。まさに教員としての基本的また普遍的なものかと思いますが、この目的は達成できたのでしょうか。それとも、達成できなかったのでしょうか。達成できなかったから、今回、制度を変えていくのでしょうか。そのような疑問が湧いてまいります。
影響を総括的な視点でどのように分析をされているのか、また、現状の認識を大臣に伺います。お願いいたします。
○末松国務大臣 お答え申し上げます。
教員免許更新制、これは、資質、能力の向上を目的として、十年に一度、三十時間の講習を受講することで教員免許状を更新する仕組みとして整備をされました。先生のお話のとおりです。こうした仕組みというのは、教師の学びの機会の拡大には寄与したと考えてございます。
具体的には、文部科学省で昨年の四月から五月にかけまして現職教師に対して実施しましたアンケート調査によりますと、受講した講座内容について、満足、やや満足が過半数、五八%を占めている一方で、不満、やや不満は合わせて一六%という結果であり、講習自体は一定度評価されていたものと考えております。ほかにもいろいろな調査もあったようでございますが。
また、受講した講習は最新の知識、技能を修得できる内容であったかどうかということについての質問につきましても、過半数、五三%は、そう思う、やや思うという回答をいただいております。
加えて、中央教育審議会におけるヒアリングにおきましても、校長会から、校長会の関係者の方からですけれども、更新講習が教師自らの指導に新たな視点を加える機会になっているということ、そして、改訂が行われた学習指導要領についても、講習の中にその内容が組み込まれているということなどの意義がありまして、教員免許更新制の趣旨である最新の知識、技能の修得には一定度の効果があったという意見が聞かれました。
こうしたことを踏まえれば、教員免許更新制は、教師が定期的に最新の知識、技能を身につけて、その時々で必要な資質、能力を保持する上で意義があったものと考えておりまして、その結果として、教員が自信と誇りを持って教壇に立って社会の尊厳と信頼を得るとの制度の目的については、一定度の寄与をしたものと考えておるところであります。
○岬委員 大臣、ありがとうございます。
私も共感をしたいところではございますが、とはいっても、教員不足、大量採用されました団塊世代は退職という時代がやってまいりました。若返った職場ですと、今度は産休ですとか育児ということで退職をされる方もいらっしゃいます。慢性的な教員不足に陥ってしまったこと、また、様々な精神的な不安定さ、また多忙な状況から心を病んでしまって、お仕事に就けないという状況などございます。そういったことを踏まえまして、志願者が減少しているという背景もございます。
教員は、その忙しさから、今やブラック職場と言われております。さきの答弁にもありましたけれども、二〇年度の採用の教員試験、公立小学校では倍率が過去最低でございます。二・七倍ということで、憧れ、そして、なりたい職業からはだんだん遠のいてしまっているのかなと、残念な現実が突きつけられております。
午前中にも末松大臣は、子供の頃、一年生から四年生の間に人生の善悪の基本を先生から教えられた、今であってもその人生の指針が大きく影響している、そんなエピソードも教えてくださいました。子供にとって、人生を導く、そして人生を左右していくのが教職の皆様ではないかと思っております。
とはいっても、教員の皆様が大変忙し過ぎて、時間が取れない、さらに気力も薄らいでいく、体力にも限界がある、そういったところで、どのようにしたら教員の疲弊を改善して、また、よりよい授業ができるのでしょうか。その辺りに、大変私、疑問を持っております。
小学校では、令和三年度から五年かけて、さらに、四十人の学級から三十五人学級に移行します。ここでもさらに、教員不足が深刻でございます。一万三千人超えの教員が必要になると言われております。
さて、皆さん、どうしたらこの教員不足を止められると思いますか。教員の負担を減らし、また労働環境の見直し、さらに待遇の改善も本腰を入れなくてはいけないのではないかと思っております。
そこで、令和二年度に免許更新制高度化のための調査研究事業の結果が発表されております。そうしますと、教師の皆さんが、転職における問題点を挙げていただいたところ、教員の忙しさに不安がある、五八・八%、そして教員の処遇がよくないというのに四一・三%が挙がっています。つまり、免許更新の問題点ではないようなんですが、この辺り、どのように思っていらっしゃるんでしょうか。
また、令和元年の給特法の改正によりまして、上限ガイドラインを法的根拠のある指針へと格上げもされました。
昨年十二月に文科省から、令和三年度の教育委員会における学校の働き方改革のための組織状況調査の結果も発表されました。これは、実際には、改善傾向は微増であるという見解を示されていますが、先ほど申し上げたように、どうしたら教員不足に歯止めができるのでしょうか。また、具体的な効果はどのようにあったと文科省としてはお考えでしょうか。教えてください。
○伯井政府参考人 令和元年度の給特法改正における効果についてお答えをさせていただきます。
文部科学省におきましては、教師の負担軽減を図るため、令和元年の給特法改正によりまして、教師の勤務時間の上限等を定める指針を御指摘いただきましたように策定するとともに、教職員定数改善、教育業務支援員を始めとする支援スタッフの配置促進など、学校における働き方改革を集中的に進めてきたところでございます。
そしてまた、これも御指摘いただいた令和三年度の働き方改革のための取組状況調査結果では、時間外勤務が月四十五時間以下の教職員の割合は、令和元年度と比較して、小学校において四八%から六四%に約一六ポイント増加、中学校は三四%から四七%に約一三ポイント増加、さらに、ICカード、タイムカード等を活用した客観的な方法による勤務実態把握を実施している自治体の割合は、都道府県・政令指定都市では一〇〇%になるとともに、市区町村においては令和元年度の四七から八六%に増加しているなど、成果は着実に表れています。
しかしながら、これで十分とは当然言えないわけでございまして、依然として長時間勤務の教職員も多く、引き続き、先ほど言った教員の勤務環境の改善あるいは働き方改革の更なる推進、これはDXも含めましてですね、取組を更に進めていく必要があるというふうに考えております。
○岬委員 ありがとうございます。
いずれにしても、長時間勤務ですとか多忙過ぎる業務ということが問題になっているわけです。実際に、二〇二一年十月二日の朝日新聞の朝刊によりまして、こちら、さいたま地裁の判決が出ております。このときは棄却ではございましたけれども、裁判長から、給特法がもはや教育現場の実情に適合していないのではないかと指摘がありました。また、給与体系の見直しなどを早急に進め、教育現場の勤務環境の改善が図られることを切に望むとも述べられています。
そのとき、昨年十月四日には、萩生田大臣ですけれども、司法から改善を求められたこと、重く受け止めたいと述べられました。
そこで、大臣に質問でございます。
この給特法の四%、実態にはそぐわないまま放置されてきたという現実がございます。もはや教育現場での実情に適合していないということは認識されていると思いますけれども、末松大臣、受け止めはいかがでしょうか。
また、令和元年の改正の具体的な効果をお聞きしたいと思っております。十分に反映されていたのでしょうか。教育現場に反映できていたのか、その辺りも含めてお願いいたします。
○末松国務大臣 岬先生にお答え申し上げます。
公立学校の教師の処遇を規定をしております現在の給特法の仕組みでは、教師の職務は自発性、創造性に基づく勤務に期待する面が大きく、どこまでが職務であるかを切り分け難いという特殊性を踏まえまして、時間外勤務手当を支給しない代わりに、先生も御承知のとおり、勤務時間の内外を包括的に評価するものとして教職調整額を支給してございます。
一方、給特法制定からもう半世紀が経過をしまして、教師に求められる仕事の内容も随分変化しております。平成二十八年度に実施をしました調査においても、法制定当時の想定を大きく超える長時間勤務の実態が明らかになっております。これらを踏まえまして、令和元年に法改正を行いまして、教師の勤務時間の上限を定める指針を策定するなど、学校の働き方改革に取り組んでいるところでございます。
今後、こうした働き方改革の様々な取組と成果等を踏まえつつ、本年度に勤務実態調査を実施しまして、教師の勤務実態や働き方改革の進捗状況をきめ細かく把握する予定です。その結果等を踏まえまして、先生もお話ありましたとおり、給特法の法制的な枠組みも含めた検討を行ってまいりたいと思っております。
それと、令和元年度の改正に効果があったかどうかということにつきましては、一概に効果があったという、そういう表現はしづらい側面もございますので、改めてそこにつきましては内部で検討したいと思ってございます。
○岬委員 大臣、ありがとうございます。
そうですね、こちら昭和四十一年でございますので、何と五十五年もたつわけですね。おぎゃあと生まれた子が五十五歳、私もそこに近いわけですけれども、それだけの間何の改正もないというのは余りに放置ではないかと思ってしまうのは自然ではないでしょうか。
では、次の質問です。
令和四年度に勤務実態調査の実施をして、その結果を踏まえてとおっしゃっていますが、調査の結果を待つのではなく、早急に進めるべきではないかと思っております。
こちらに関しては、二〇二一年十二月七日の朝日新聞朝刊にも記されておりますが、大体、試算によりますと、この財源、四%から引き上げた場合どれくらいの財源が必要かといいますと、約七千億から一兆数千億ということで、大変財源が必要となります。その辺りも現実的に捉えて、どのようにしていくかという検討も必要ではないかと思うわけです。
また、人材不足についてですけれども、中教審によりますと、令和三年一月、令和の日本型教育の構築を目指してというところにも教師の人材確保が書かれております。教員の免許状を持っていても教職への道を諦めた方、途中で断念している方などいらっしゃいます。
また、就職氷河期世代も円滑に学校教育に参画できる環境整備が必要ではないかと思います。実際、こちらの就職氷河期世代の支援につきましては、二月の予算委員会におきまして、私自身が岸田総理に直接質問をいたしました。是非とも、一度は教職の道を諦めてしまった方々に、何とか学校での夢を実現する、チャレンジができるような取組を進めてほしいと強く願っております。
また、令和三年三月におきまして、「「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について」では、社会人等の多様な人材活用についても触れられています。しかしながら、現場を離れた者にとって、いきなり現場に立つというのは大変ハードルが高く、難しいかと思う方々が多くいらっしゃると思います。先生のまずサポートですとか、事務方から入ってもらいながら、実際仕事をして空気感に慣れて、教壇に立つ準備を進めてもらうのがよろしいかとは思いますが、教員免許を持っている方をうまく活用していくということで、是非とも積極的に戻れるような環境を整えることが大事だと思います。
具体的な取組や成果、今後の計画などを教えてください。
○伯井政府参考人 まず、私から、教員勤務実態調査の結果を待たずして具体の検討をすべきということにお答えをさせていただきます。
教師が教師でなければできないことに全力投球できる環境の整備が重要であるということは、大臣も先ほど来答弁申し上げているところでございます。
文部科学省といたしましては、小学校における三十五人学級の計画的整備や高学年における教科担任制の推進等、教職員定数の改善、あるいは教員業務支援員を始めとする支援スタッフの充実など、様々な施策を総合的に講じているところでございまして、文科省としては、こうした学校における働き方改革を進めつつ、やれることはできるだけ実施しつつも、やはり勤務実態の把握、エビデンスを求めるということも一方で不可欠でございますので、本年度に実施予定の勤務実態調査の結果等を踏まえまして、給特法等の法制的な枠組みを含め、検討することといたしておりますが、必要な情報収集など検討のための部内の準備はしっかり進めてまいりたいと考えております。
○藤原政府参考人 失礼いたします。
就職氷河期等の御質問がございました。
就職氷河期世代には、教員免許状を持つものの、高い教員採用試験倍率の中で教職への道を諦めざるを得なかった方が一定数いらっしゃるものと承知をしております。また、出産や育児等で離職した方が教壇に戻ることなく、そのまま教職を離れたといった方もいらっしゃるものと考えております。
文部科学省としては、意欲と能力のあるこうした方々が民間企業での経験等を経て学校現場に参画することは、多様な教職員集団を構築する上でも重要であると考えております。
このため、令和四年度予算において、教員免許を保有しているものの教壇に立ったことがない方、いわゆるペーパーティーチャーに対して、教壇に立つに当たって必要な知識、技能を刷新する機会を提供する学習コンテンツを開発するための経費を計上しているところでございます。
また、各教育委員会においては、公立学校教員採用選考試験において、採用年齢の上限の撤廃や引上げ、また民間企業等の勤務経験を有する者に対する特別の選考といった取組を行っているものと承知をしております。
文部科学省としては、引き続き、これらの自治体の取組やその発信の充実を促すほか、現在中教審で行われている教師の養成、採用、研修等に関する包括的な議論を踏まえつつ、多様な人材に教職を目指していただけるよう検討を進めてまいりたいと考えております。
○岬委員 ありがとうございます。
文科省も様々な取組を行っております。教師バトンプロジェクトというものを皆さん御存じでしょうか。ツイッターのハッシュタグを見ていただきますと、教師バトンというもので出てきます。何と、二〇二一年十月二十四日の朝日新聞の朝刊には、五十四万件に達したとございます。大臣、見たことはございますでしょうか。ここは悲痛な叫びや訴えが投稿されているわけですが、是非とも、建設的なコミュニケーションの場であってほしい、また、教師が欲しい情報、必要な情報をどんどん発信し合う場になっていただけたらと思います。
それでは、時間になりましたので、最後、大臣にお願いしたいと思います。
教員は、人を育てるという大変やりがい、かけがえのない仕事だと皆が認識をしていると思います。是非とも、このやりがいの仕事を行うために、これからの待遇の改善ですとか労働環境の改善、具体的に、そして迅速的に行っていくべきと考えます。最後に、大臣の見解と意気込みを教えてください。
○義家委員長 答弁は簡潔にお願いいたします。
○末松国務大臣 先生にお答えを申し上げます。
教師の魅力を高めて優れた人材を学校教育の場に確保していくためには、教師が教師でなければできないことに全力投球できるその環境整備が一番大切だと思います。
文部科学省では、令和元年に法改正を行いまして、教師の勤務時間の上限を定める指針を策定するとともに、先ほどからお話が出ていましたように、三十五人学級であるとか、教員業務支援員など支援スタッフの充実であるとか、あるいは部活動改革など、いろいろなことを進めてまいりました。教師の負担の軽減につながる様々な施策を総合的に講じているところでございます。
今後は、こうした働き方改革の様々な取組と成果を踏まえつつ、本年度改めて実施をします予定の勤務実態調査におきまして、教師の勤務実態や働き方改革の進捗状況をきめ細かく把握する予定でございます。その結果を踏まえて、給特法の法制的枠組み、改めて検討してまいりたいと思います。
いずれにしましても、学校の働き方改革、最優先課題の一つでございます。しっかり取り組んでいきたいと思います。
時間制限されていますので、答弁はこれで終わります。
○岬委員 末松大臣、お時間いっぱいまで御答弁、誠にありがとうございます。
是非とも、今後の教員の皆さんの働きに、活躍に私たちも期待し、後押しをしたいと思っております。
今日はありがとうございました。