文部科学委員会 令和4年3月30日

岬委員 皆様、お疲れさまでございます。日本維新の会、岬麻紀でございます。

 どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、通学路における交通安全について、そして、インターネットやSNSによる誹謗中傷に関する情報モラル教育、ネットいじめ対策について質問をいたします。

 まず、通学路における交通安全についてです。

 年度末になりまして、新学期が始まるタイミングでございます。新入生や新生活を迎えるに当たり、質問とさせていただきます。

 先週、私の地元でございます愛知県名古屋市において、下校中の痛ましい事故が起きてしまいました。東海テレビの報道によりますと、先週三月二十四日に、名古屋市内の小学校修了式の帰りに、横断歩道を歩いていて渡っていた小学校三年生、四年生の女児二名が乗用車にはねられ、一人は死亡してしまうという事故が発生しています。保護者の方、関係者の皆様の御心痛はいかばかりかと拝察をします。

 そして、子供を持つ親にとって、子供が元気に学校へ通い、そして元気に帰ってくる、これを何とか無事にと日々願っていることは間違いございません。

 さて、この通学路における交通安全については、これまでも幾度か見直しを図られてきました。

 昨年六月にも千葉県の事故は記憶に新しいところでございますが、文部科学省は、国交省や警察庁と連携して、昨年七月に通学路の合同点検を要請しました。令和三年十二月末時点で通学路合同点検結果を取りまとめ、令和四年三月四日に、通学路における合同点検結果を発表していらっしゃいます。

 そこで、通学路における交通安全対策については、これまでも様々な対策が取られてきました。今回の点検結果においては、全国で対策が必要となる箇所、何と約七万六千件に及んでいます。

 合同点検については、平成二十四年四月に、京都府亀岡市での登下校中、児童列に自動車が突入しまして、三人が死亡するという事故が発生しました。それを受けまして、平成二十四年にも今回のような合同点検が行われております。その合同点検の結果、危険性があると判断された箇所、七万四千四百八十三件であります。そして、二〇一九年の年度末、九八%は歩道やガードレールの設置など対策が取られました。平成二十四年の合同点検によって危険性があると認められた箇所ほとんどが、このように何らかの対策が施されています。にもかかわらず、今回、新たに七万六千件もの箇所が、対策が必要であると認められました。

 さて、今回は、また新たに合同点検で観点が加えられています。見通しのよい道路や幹線道路の抜け道になっている道路など車の速度が上がりやすい箇所も、大型車進入の多い箇所など、これも含まれる。さらに、過去には事故にはならず、ヒヤリ・ハットの事例があった箇所、また、保護者や見守りの活動をしていらっしゃる皆様、地域の住民の方から市町村へ改善要請があった箇所、このように、新たな箇所が設けられました。

 このような観点も踏まえた結果、この数字なのかもしれませんが、この数字に関する見解、そしてこれまでの対策や実効性、そして、合同点検における危険箇所の選定に対して漏れがないか、これで十分であったのか、振り返りを含めて、文科省の見解をお聞きします。お願いいたします。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 通学路の安全の関係の御質問でございます。

 平成二十四年に行われました緊急合同点検では、通学路における事故等の危険性が考えられる場所を集中的に点検するため、例えば、道路が狭い場所、見通しが悪い場所等について、危険、要注意箇所として把握をいたしたところでございます。

 その後、この度の八街の事件があったわけでございますけれども、今回の合同点検では、車の速度が上がりやすい見通しのよい道路や抜け道、ヒヤリ・ハット事例があった箇所など、従前とは異なる視点からも点検を行い、今御指摘もございましたように、全国で七万六千四百四か所が報告をされた、こういう状況でございます。

 平成二十四年の亀岡市の事件、事故を受けまして、文科省としても、関係省庁と連携をして対策を取ってきたわけでございますけれども、そうした中で、様々な推進体制、継続的に取組ができるような推進体制を構築しながら対策を講じてきたところでございます。

 また、学校においては警察等と連携した交通安全教育を実施しているわけでございますけれども、そうしたものに加えまして、例えば、交通安全等に関する注意事項をクイズ形式で学べるような小学校一年生向けのリーフレットの作成、配布、あるいは学校における教職員向けの講習会の実施といったような、様々な対策を講じてきたところでございます。

 そうした中でも、この度の事件、今御指摘のありました名古屋の事件、事故などが起きているわけでございますけれども、文部科学省といたしましては、危険箇所に漏れが生じないようにということで、今回、特に、これも御指摘ありましたように、様々な視点からの点検を行う際に、保護者や見守り活動者、地域住民等から市町村へ改善要請があった箇所というものも加えてほしいということ、また、その際には、子供の視点も含めて危険箇所のリストアップを行っていただきたい、こういうことでお願いをしたところでございます。

 各自治体においては、これまでも、学校、教育委員会、道路管理者、警察等を構成員とする通学路の安全対策のための推進体制が構築をされてきているところでございますけれども、交通事情や子供の状況が変化していくということも踏まえながら、今回の点検にとどまらず、今後も継続的な取組を組織的に行っていく中で、子供たちの通学路の安全の万全を期してまいりたいと考えているところでございます。

岬委員 ありがとうございます。

 さて、この通学路における合同点検状況の報告様式には、対策済み、そして本年度中に実施する、そして来年度以降に実施するという、三つございます。内訳があるわけなんですね。この対策案に従って計画的に対策を実施するとございますが、しっかりと実施されることはもちろん重要でございます。さらに、対策状況のフォローアップをしていくと聞いております。具体的に是非とも進めていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、一つ質問を今まとめまして、三つ目の質問に参ります。大臣にお願いいたします。

 通学路における合同点検における対策、きちんと実施をされ、また、子供たちが交通事故に遭わないよう、そして安心して通学ができるようにしていくことはもちろん大事でございます。

 これは昨年十二月二十四日、第三回交通安全対策に関する関係閣僚会議においても、令和五年度末までに完了に向けて取組を行っていくと。これは文科省、国交省、警察庁の連携をして取り組んでいくということでございます。

 悲惨な事故が決して起きないように、強い決意の下、私たちは子供を守っていかなくてはいけません。

 大臣、ほかの省庁との関係もあるかと思いますが、是非とも文科省でしっかりと引っ張っていき、リードしていただきたいと思いますが、その辺り、大臣、いかがでございましょうか。お願いいたします。

末松国務大臣 岬先生にお答えを申し上げます。

 先生から御指摘ありました危険箇所七万六千か所、大変な数字だなというのが認識でございます。

 かつて、地方議員時代は、信号機の設置というのが一番多い陳情の一つでございました。横断歩道を設置もそうでございました。

 子供たちが学校で安心して活動して、学べるようにするためには、その前提として、通学路を含む学校での安全を十分確保すること、不可欠でございます。通学路における事故によりまして子供の貴い命が失われることがあってはならないということで、このことはもう文科省、重く受け止めております。

 先般、令和四年度からの五か年計画でございます第三次学校安全の推進に関する計画を策定したところでございまして、その中では、地域の多様な主体と密接に連携、協働しまして、子供の視点を加えた安全対策を推進することといたしております。

 いずれにしましても、通学路の安全確保につきましては、学校はもとより、今先生御指摘あったPTAや道路管理者や警察等の関係機関、自治体、地域の関係団体との連携を図ることが重要です。

 文科省では、第三次学校安全計画を踏まえまして、関係省庁と連携しながら、通学路の安全対策に万全を期してまいりたいと思います。

 なお、時々、全国道路標識・標示協会というのがございまして、ここは、もう薄れてきた、傷んだ道路標識、あるいは白線が全部薄れてきますので、きちっと白線をもう一度引き直すべきじゃないかといった、そういったことを行う協会なんですけれども、そういった声も大事にしなきゃならないとは思っております。

岬委員 大臣、御丁寧な答弁、ありがとうございます。

 私も、朝の駅頭などをしておりますと、北名古屋市というところは、大変駅は少ないのですが、道も狭く、踏切もあり、グリーンベルトを引いてもらおうといろいろな声が上がっております。是非とも、これからも安全対策、よろしくお願い申し上げます。

 さて、とはいっても、子供たちの交通事故、ゼロにはなかなかすることができません。さらに、通学路における交通安全に関する質問の最初の方に私、申し上げました、平成二十四年に発生した京都府の亀岡市の事故、これについて触れましたが、先週、この事故の遺族である中江さんと直接、私、お話、面談をさせていただきました。まさにこのときも合同点検が行われましたが、被害者となった方、当事者が、また、その関係者、遺族の皆様が、更にインターネットによりまして誹謗中傷を受け、更なる被害を受けているという事案が発生しております。

 中江さんは、事故の後、インターネットによりまして誹謗中傷を受けられた御本人でございまして、大変心を痛めているとお話をされました。年数がたっても、子供を亡くしたつらい気持ちは癒えることはありません。さらに、心ない言葉にどれほど傷ついたであろうかと、私、お心をお察しするばかりでございます。

 その中傷の書き込み、加害者の一人は、何と高校一年生でございました。男子生徒、二〇一三年には書類送検をされています。このように、若い学生生徒たちがいつの間にか加害者になってしまっている。その加害者になった子たちのこれからの芽も摘んでしまいかねないインターネット誹謗中傷でございます。

 二〇一九年四月に起きた、東京池袋の高齢者ドライバーが運転する車が暴走しまして、奥様とお嬢様を亡くされて、遺族に対しても、先日、SNSで誹謗中傷が書き込まれました。その当事者は愛知県に住む二十代の男性、こちらも書類送検の方針と報道が、今月、三月の二十日にあったばかりでございます。

 そういうことを踏まえまして、私ども日本維新の会も、インターネット誹謗中傷に対する対策、検討するチームを結成しまして、私も参加をしております。

 どのように防いでいくか、また減らしていくか、加害者にも被害者にもならないようにしていく、この対策は非常に早急にしなくてはなりません。

 そして、インターネットのSNS上誹謗中傷については、総務省また法務省なども、厳罰化も含めて動きが出始めています。私たち、文科省としては、スマートフォンやSNSの急激な普及によりまして、利用者の低年齢化、小学生の低学年であっても非常にスムーズに使いこなしてインターネットの世界を楽しみ、また情報収集をしながら、時に危険な目にもさらされてしまいます。

 そこで、質問でございます。

 文科省の取組を私も調べさせていただきましたところ、新学習指導要領での位置づけであったりとか、令和元年十二月には教育の情報化に関する手引、さらに、令和四年三月三日には、文部科学省通知ということで、情報モラル教育の一層の充実を図っていくと記されております。

 さて、ここで、ネットいじめ、十分に対策をしながらもなかなか減らないというこの現実、そして、認知件数だけでも一万八千八百七十件と、過去最多を更新しております。

 そこで、これらは実効性があったのか。対策はまず十分に効果があったが、増加していくために対策がなかなか至っていないという見方もあれば、もう一方で、対策不十分で、まだまだポイントがずれていたのではないか、これはどちらなんでしょう。なぜ減らないと思われますか、教えてください。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたように、文部科学省では、学習指導要領におきまして、情報モラルを含む情報活用能力を学習の基盤となる資質、能力として位置づけ、教科横断的に育成するというふうに今取り組んでおります。

 加えて、昨年度に引き続き今年度予算におきましても、SNS等によるいじめを含む様々な悩みを抱える児童生徒からの相談を受け付けるSNS等を活用した相談事業を実施するための必要な経費を計上するなど、取組を進めているところであります。

 一方、令和二年度の携帯電話等を使ったいじめの認知件数は、御指摘いただきましたように一万八千八百七十件ということで、前年度から九百四十六件増加しております。

 いわゆるネットいじめへの対応は重要な課題というふうに、依然認識をしております。文部科学省といたしましては、スマートフォンなどの普及、低年齢化に伴いまして、今後、ネットいじめの更なる増加が予想されるということも踏まえまして、引き続き、こうしたネットいじめに対応するため、様々な対策を講じてまいらないといけないというふうに考えております。

岬委員 ありがとうございます。そのとおりだと思います。

 では、私たち、このように大人が議論をしているインターネット誹謗中傷に関する対策でございますが、私が思うには、私たちは大人になり、また成長をある程度した段階でこのような便利なものが出てきたので、私たちはその便利さを追っていく側なんですが、子供たちはどうでしょうか。もう生まれたときにすぐそばに便利な端末があり、子供たちは、今までの私たちの感覚の絵本のような形でiPadやまたスマートフォンなどをいじって、そして自然とこれらに触れているのではないかと思います。

 そうしますと、対面では言えないはずのことが、どうもこの端末に向かってだと、自分のあらわとなっている感情の思いがそのままストレートに出過ぎてしまうのではないか。そうすると、乗りや悪ふざけも助長されまして増幅されやすい、そして集団性が出てくるのではないかと思われます。

 そうなってくると、これは一種の風土改革が必要なのではないかと思うわけですね。例えば、私たち、今マスクをするのが当たり前ですが、当初はいろいろな反発があったり抵抗があったと思います。また、喫煙の場所もそうですね。たばこを吸ってはいけないと思っても、吸う場所がないであるとか、どんどん吸う人が減っていきました。また、吸う方のマナーの向上にもなっています。そのほかにも、飲酒ドライバーの問題などもそうではないでしょうか。

 やはり風土をつくることによって軽減していくことができると思います。是非とも、そのようなことも自ら考え、想像できるような風土をつくっていきたいと考えるわけですが、最後に、時間がなくなりましたので、大臣にお答えいただきたいと思います。

 これからこの風土改革をするに当たり、文科省としての取組の決意、さらには、子供たちが、インターネット誹謗中傷だけではなく、これからの教育の分野として、自らが考え、自らが想像して、判断して、そして自らが解決できるという、いわゆるそういった人間力を鍛えていく教育が必要になってくるのではないかと思われます。

 大臣、そういうことも踏まえて、また、御自身がインターネットなどを使って、加害者になるということは考えづらいですけれども、被害者になりかねないというような観点も踏まえて、御経験もあれば教えていただけますでしょうか。

末松国務大臣 今日の時代状況を踏まえた先生の御指摘をいただきました。

 いわゆるネットいじめを含めたインターネットにおける誹謗中傷というのは、超増加傾向にございます。もう学校だけで解決なんというのはできませんで、やはり保護者、社会全体の理解や協力を得ること、大変必要でございます。

 このため、文科省としては、まず、ネットの利用に関する家庭ルールづくり等を推進するための保護者向けのシンポジウムを行ったり、学校やPTA等に無償で講師を派遣したりとか、インターネットの適切な利用方法についての啓発講座を実施するe―ネットキャラバンなどの取組を行っております。

 ツールはいいんですが、ツールの使い方が悪いわけですから、そこを直さなきゃいけないと思うんです。それはもう、先生も我々もみんな一緒だと思います。

 そして、今日、社会全体でICTの活用が当然の時代となりましたのですが、学校でも一人一台端末が整備されるなど、子供たちを取り囲む環境は大きく変わってございます。

 その中で、先生御心配の、子供たちが何が重要か主体的に物を考えて、見出した情報を活用して、他者とどう協働しながら問題を解決したり、自分の考えを形成したりするかという情報活用能力の重要性が高まっております。したがいまして、学習指導要領におきましては、情報活用能力を学習の基盤となる資質、能力として位置づけまして、教科横断的に育成することといたしております。

 ICT活用に当たりまして、課題に直面した際に、一律に端末やサービスの機能を制限するんじゃなくて、端末を積極的に活用する中で問題を解決するということが重要であるというように思います。隠したって、やはり隠し切れないと思うんですよね。だからといって、これが本当かどうかという、この見極めというのは、やはり子供たちに求められてくると思うんです。あのゼレンスキー大統領のフェイク動画でも、見間違えますよね。これってやはりどうなのかというのは、やはりそれぞれが、目で、今の情勢を考えて判断しなきゃいけないという難しい時代でございます。

 自ら考え、解決できるような指導を、工夫をいたしてまいりたいと思いますので、これは幅広い御指導をいただきたいと思います。

岬委員 大臣、誠にありがとうございます。私も本当にそのとおりだと思っております。

 是非、教育の一つの分野ではありますけれども、インターネットの使い方、また情報収集の仕方、そういった真贋を鍛えていく教育にも力を注いでいただきたいと思います。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。