令和5年2月9日 予算委員会
ちょうど1年前にも同じテーマで岸田総理に質問し、今回はこの1年間の取組について質問しました。
「行動計画2021」と「新行動計画2023」との違いや社会に対してあきらめを感じている方々・なかなか一歩を踏み出せない方々にどのようにアプローチしていくのか問いました。
また、今年6月に発表される「職務給のモデル」について、スキルが適正に評価される風土をいかにつくっていくかが大切であると訴えました。
○岬委員 さて、ここまで、本日は女性デーということだということが分かりました。私も女性ではございますが、政党は替わりまして、日本維新の会、岬麻紀でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、一年前に当委員会におきまして岸田総理に初質問をいたしました就職氷河期世代の支援について、その後の経過、また今後の見通しについて伺っていきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、もう皆様もよく御存じのように、就職氷河期世代というのは、一九九三年から二〇〇四年に学校を卒業して就職活動を行った世代でございます。年齢でいいますと五十一歳から四十前あたりまでということで、まさに四十代がすっぽりと入っている、働く世代でございます。第二次ベビーブームに生まれた方が含まれています。しかし、大変多くの人口ですから、受験等、物すごい競争を強いられてきました。あの時代は何だったんだろうというほどでございます。
いざ社会に出よう、就職しようと思ったときにはバブルが崩壊し、大変狭き門となり、苦労を強いられています。まさに失われた三十年、大きな落とし穴、時代にのみ込まれてしまったと言っても過言ではありません。
この失われた三十年というのは、社会だけではなく、一人一人の人生の失われた三十年と言っても過言ではないのではないでしょうか。これは、個々の優劣だったり、個人が頑張ったか、努力をしたかといった問題ではないです。ですから、社会全体で、国としてもしっかりと関わり、今後支援をしていくことが強く求められます。まさに政治の役目であり、出番だと思っております。
それでは、早速でございますが、現在、令和四年度の就職氷河期世代支援プログラム、進行途中ではありますが、今年度の最終的な数字、総務省の統計資料、五月頃に発表されると伺っておりますが、まずは今年度の進捗状況、実績等を教えていただけますでしょうか。お願いいたします。
○後藤国務大臣 今委員の方から、就職氷河期世代の広がりとその課題の深さについての御指摘がありました。そうしたことで、今、就労や社会参加の支援に集中的に取り組んでおります。
今年度の施策の実施状況のお尋ねでございますけれども、ハローワークの職業紹介により就職氷河期世代が正社員に就職した件数、四月から十二月までの実績で約八万八千件でありまして、昨年度の同時期の実績を上回るなど、成果を上げているところと考えております。
○岬委員 ありがとうございます。
今、今年度の実績ということで御答弁いただきました。
政府は、令和四年六月七日閣議決定されました経済財政運営と改革の基本方針二〇二二におきまして、今年度までの三年間、集中取組期間に加えまして、二〇二三年度から二年間を第二ステージということで、正規雇用者約三十万人の増加目標を掲げていらっしゃいます。今お聞きしますと八万八千件ということで、遠く及んでいないのですが大丈夫でしょうかと、少し心配にもなります。
また、令和四年十二月二十七日には、骨太方針二〇二二の方針に基づきまして、就職氷河期世代支援に関する新行動計画二〇二三が示されました。
これまでの三年間に及ぶ集中取組期間を政府はどのように捉えているんでしょうか。また、就職氷河期支援の支援策、一定の成果は上がったという評価をされていると答弁がございましたが、この三年間にわたる支援をどのように評価をされているのか、改めてお聞かせください。
○後藤国務大臣 先ほど、今年の途中までの状況について御報告申し上げましたが、今委員の方から、正規雇用を三十万人増やす目標について、二〇二〇年以降の新型コロナ感染症の拡大によりまして雇用情勢が非常に厳しくなったことを背景に、二〇二一年度までの二年間の実績は、トータルで、二〇一九年から三万人増という数字になっております。
三年目となる二〇二二年の暦年の実績は今年五月をめどに公表したいと考えておりますけれども、政府としては、今後とも、昨年末に策定した就職氷河期世代支援に関する行動計画二〇二三に基づきまして、就職氷河期世代支援にしっかりと取り組んでいきたいと思っております。
○岬委員 ありがとうございます。
令和三年十二月二十四日の就職氷河期世代支援に関する行動二〇二一と、今年掲げられました新行動計画二〇二三、見比べますと、厚労省のキャリア形成・学び直し支援センターの推進であるとか、ハローワークの就職支援コーディネーターを百十二人から百四十二人に増員するなど、追加項目があったと思うんですが、ただ、これはびほう策のような気もしまして、基本的に同じ政策を延長しているだけのようにも捉えられます。
実際に、この新行動計画二〇二三では、これまでの取組をどのように検証して、どんな課題を見つけて、さらに、それを解決するためにどんな対策を講じて、それがどのような成果や効果が上がると見込まれているのか、具体的に教えてください。
○後藤国務大臣 就職氷河期世代支援に当たっては、第一ステージ、三年分につきまして、過去二年間の個々の実績等をよく検証、評価を行いまして、PDCAサイクルを回しながら、三年目に当たる今年度の施策の評価も行った上で、五月にはプラットフォームを開催しまして、そこでも総括的な検証を行いたいと思いますけれども、御承知のように、昨年末に氷河期世代支援に関する新行動計画二〇二三を作っております。
その中におきましては、二〇一九年の骨太方針に就職氷河期世代支援プログラムという形でしっかりとした政策パッケージをお示ししているのに基づきまして、相談、教育訓練から就職までの切れ目のない支援、あるいはより丁寧な寄り添い支援、そうしたことに取り組むという施策の骨格自身は特に変わらないわけではございますけれども、その中で、特に検証の中で実績が上がっているという評価のあったもの、そうしたものへの重点化、それから学び直しのニーズに一層きめ細かくしっかり対応すべく、施策の強化を行うという形で対応いたしております。
具体的には、過去二年間で約二十万人の正社員就職を実現をして、実際に成果を上げておりますハローワークの体制強化を行うこと。それから、二番目に、例えば就職氷河期世代支援に取り組む地方自治体等を後押しする交付金、地域就職氷河期世代支援加速化交付金でございますけれども、その中での成功事例である、複数の自治体の連携による地域支援だとか、一体的な支援だとか、そうしたものを後押しをする。三番目に、キャリア形成、学び直しを総合的に支援するためのセンター、これを全都道府県に、今十九ほど設置されておるんですけれども、これを全都道府県に新たに設置する。それから、国家公務員や地方公務員について、就職氷河期世代の採用促進ということで取り組んでおりますけれども、ここに、独立行政法人等での採用促進にも取り組む。そうしたことを重点的に強化をしていくという形で対応を行っているところであります。
○岬委員 ありがとうございます。
プログラムが、しっかりと取り組まれていることももちろん理解ができます。PDCAというお話もございました。もちろん、相談から就職、そしてそこにミスマッチが起こっていないかという検証、そして離職や定着というように進んでいると思うんですけれども、では、このプログラムに乗ってこない方に関してはどうでしょうか。なかなか一歩を踏み出せない方々にどのような支援の手があるのか、そこを確認していきたいと思います。
様々な支援策はありますけれども、実際には、社会に対してもう諦めてしまっているであるとか、自己肯定感が低くなっている、若い頃にキャリアを積むことができなかった、時代や社会から置き去りになってしまったと、非常に自分自身の人生に諦め感というものが漂っている世代でもあるのではないでしょうか。
時は金なりと申します。失った時間、人生は取り戻せません。その中で、今後の人生の時間をいかに生きがいを持って、そしてやりがいを持って働いていただけるか、こうしたことに光を当てていくことこそ、政治が求められている、そして政治の役割だと、もう一度強く申し上げておきたいと思います。
それでは、ここで、二月五日、日経新聞にも就職氷河期に関する記事がございましたので、資料一を御覧ください。皆様のお手元にあると思います。
この中に、就職氷河期世代の採用に関して、未経験だから諦めてしまったということが実例として挙がっています。
となると、未経験でもいいんだよ、無資格でも大丈夫なんだよというような、チャレンジをしやすくしていくということも必要ではないでしょうか。不安を少しでも軽減して、まずはチャレンジをしていただける、相談に足を踏み込んでもらえる、一歩進んでいただける、そのような施策も必要だと考えています。これは特別な人だけではなくて、多くの方がこのような葛藤を抱えているのではないでしょうか。
次に、資料二でございます。こちらは、就職氷河期世代に関する進捗状況というものが表になっております。
ここの中で、不本意非正規雇用労働者というものと、その下には、不本意以外の非正規の職員、従業員とありますけれども、この数字にとらわれてはいけないのではないかと思うわけです。なぜならば、不本意というのは、自分の中で、もっと、私、僕は活躍できる場所があるのではないか、もっと適した場所があるんじゃないかと、ある一定の意欲があるというふうに感じられます。しかし、不本意以外ということは、不本意とも感じずに非正規雇用というところに甘んじている、低賃金の中で、自分のやりたい仕事ではなくても甘んじているという方が多く含まれている数字ではないかと予想をしております。
また、ここの次の欄の無業者という部分があります。これは、非労働力人口のうちの家事も通学もしていない方、二〇二一年で三十九万人いるということが表されています。
さて、ここで質問です。そうした方々に一人でも多く必要な支援が届くことが必要だという前提の中で、前向きに、意欲がない方、意欲が導かされていないという方、そういった前段階にある方に対してどのようなアプローチができるのか、どのような手を差し伸べることができるのか、お考えでしょうか。教えてください。
○後藤国務大臣 今委員から御指摘があったように、希望を持って、意欲を持って社会により参加をしていただけるように、しっかりと働いていただけるような状況をつくっていくということは非常に重要だと思っております。
できるだけ多くの方に、例えば、先ほど御説明したような就職氷河期世代支援について知っていただく、あるいは、そうしたものを利用することによって、正規雇用や、あるいは、より積極的な就労ができるようになった成功事例、そうしたものを共有していただく、そういうことは大変に大事だというふうに思っています。
是非、私もやってみようと思っていただけるように、例えばツイッターや、インターネット広告、ラジオ広告等、広報活動にも取り組んでおります。もちろん、引きこもり状態にある方のアウトリーチだとか好事例集の作成とかいうこともやっておりますけれども、委員が特に今重点的にお尋ねになった点について言えば、希望される就職の実現などの成果を積み上げて好事例を発信していくことで、社会全体で就職氷河期世代をしっかりと支援していこうという機運を、ますます醸成を図りながら、意欲を失っている方々にも支援策をしっかり届けていけるように、利用しようと思っていただけるように取り組んでいくことが大切だというふうに思います。
より効果的、効率的な支援を行っていけるように、取組の強化を図ってまいりたいと思います。
○岬委員 今お話にありました、機運を高めるというのは大変重要な部分だと思います。全体を通して、そうか、自分でもできるんだ、まだまだチャンスがあるんだ、そのように思っていただけるように、広くSNSなどを通じてというお話もありましたように、お進めいただきたいと切に願っております。
さらに、次は就職後のフォローアップということもお聞きしたかったのですが、時間の都合がありますのでこちらは割愛をさせていただきまして、非正規雇用に対しての、いま一度、人材育成であるとか教育という部分に次は質問を移らせていただきます。
日本全体で、非正規従業員が雇用者の約四割を占めています。これは大変に大きな数字ではなかろうかと感じております。にもかかわらず、収入の水準は正社員の六から七割程度と抑えられています。就職氷河期世代だけでなく、その下の世代も、非正規雇用という方が大変多くなっています。
この非正規雇用は約二十年で四割強増えている状況でございますが、このままですと、不安定な収入ということで、なかなか機会がなく、結婚ができなかったり、また家族を形成できなかったりというような、自立ができていかないということにもなりかねません。また、年金の加入率も低くなりまして、老後の問題や、また老老介護の問題など、様々な社会問題にも通ずる問題ではないでしょうか。
そこで、今回の国会でも賃上げの議論が活発にされていることは承知をしております。政府も構造的な賃上げを掲げていらっしゃるんですが、雇用者の約四割にも及びますこの非正規労働者、フリーターであるとか派遣であるとか、こういった方は続出しております。そういった方の人材育成の機会が非常に少ないという問題、そして、スキルだけではなくて、その方々の自信を持たせるための、そういったプログラムも必要だと思います。
賃上げアップにきちんとつなげていけるような人材育成の取組、どのような見解をお持ちでしょうか。教えてください。
○加藤国務大臣 非正規で働く方々に対して、今委員御指摘の様々な課題がある中の一つとして、正規の雇用労働者と比べて能力開発の機会が乏しい等の課題がございます。非正規雇用労働者も含めて、誰もが主体的にスキルアップを行うことができる環境整備が大事だと思っております。
厚労省としても、非正規雇用労働者も含め、労働者等が主体的に教育訓練を受講し、修了した場合には、教育訓練給付によりその費用の一部を支給する、また、企業が行う労働者のスキルアップ支援の取組を人材開発支援助成金において支援することにより非正規雇用労働者の人材育成を支援をしてきたところであります。
加えて、非正規雇用労働者のスキルアップを通じた処遇改善、また正社員化を推進していくために、昨年策定しました総合経済対策に基づき、人への投資の政策パッケージを五年で一兆円に拡充する中で、キャリアアップ助成金を拡充し、また、訓練後に非正規雇用を正規雇用に転換する企業への支援を強化したところでございます。
こうした取組を通じて、非正規雇用の方々が本人の希望に応じて自らのスキルをアップし、そしてそれが、会社の中でなのかあるいは転職したのかというのはともかく、適正な処遇、また希望に沿った働き方につながっていけるように、政府としてしっかり後押しをしていきたいと考えています。
○岬委員 ありがとうございます。
もちろんスキルも重要ですけれども、やはり、その人のやれること、やりたいこと、そして人柄といったものも加味して、働きやすい環境になっていくための教育ということも大変必要だと感じております。
次に、雇用の流動化という部分、私ども日本維新の会も日本大改革プランでもうたっておりますけれども、労働市場の流動化ということで、昨今では職務給のモデルというものが提示されております。
そもそも、就職氷河期世代と言われている方々は、新卒採用のところでつまずいたことによって、その後のキャリア形成ができなくなってしまった、キャリア構築の機会を失ってしまったということが今なお尾を引いているということが大変問題です。
一つ、職務給モデルの質問は飛ばさせていただきますけれども、職務給モデル、これは、表面的なモデルや制度を整えるとともに、先ほども申し上げているような、社会全体で、人々が意識、また常識の枠組みを変えていくことこそ必要なのではないかと思っております。問題解決、是非とも進めていただきたいと思っております。
それでは、最後の質問となってしまいますが、まず、職歴だとか経歴だけではなくて、先ほど申し上げたように、人柄ですとか適性が評価される、生かせる環境を開拓して、また、風土をいかにつくっていくかが大事だというお話を何度も申し上げております。この職務給モデルというのもその一つのきっかけになるとは思いますが、日本を立て直す大事な人材育成、そして人材の活用、これが就職氷河期世代に大変多く含まれているということを踏まえまして、加藤大臣、最後に、この計画をいかに進めていくか、その目指す方向、いま一度決意をお願いいたします。
○加藤国務大臣 まさに、それぞれの方がスキルアップをされたり、またその方々の思い等がしっかり受け止められ、その職場において、また新たな職場が生まれてくる。そういった意味で、雇用の流動化を図ることが非常に大事だというふうに思っております。
そのため、厚労省では、令和五年度予算案において、より高い賃金で新たに人を雇い入れる企業の取組を支援をしていく、新規事業に従事する労働者のリスキリングへの企業を通じた支援、個人向けの学び直し支援策として、労働者等が主体的に教育訓練を修了した場合の費用の一部を支給する教育訓練給付の対象講座の拡充などを行うとともに、職業情報提供ネット、いわゆる日本版O―NETの整備など、転職や就職に資する情報提供の充実等に取り組むことによって円滑に労働移動が行われる、それぞれ皆さんが主体的に選択をしていただける、こういった環境をしっかり整えていきたいと思っています。
○岬委員 ありがとうございます。
さきに申し上げました風土改革というのは、当事者、そして企業側だけではなくて、それを支えている家族もまだまだ、日本のこれまでの年功序列であるとか終身雇用といったような、そういった雇用形態に、概念を強く持っている方々も多くいらっしゃいます。転職ですとかキャリアアップに家族も後押しができるような、ブレーキを踏まなくて済むような、そういったリスク回避をしながら政策を進めていただければと考えております。
本日は、大臣、ありがとうございました。
以上で終わります。
就職氷河期世代の支援について
職務給のモデルについて