令和5年2月10日 財務金融委員会

内閣府の「中長期試算」を取り上げ、「成長実現ケース」による妥当性を質問しました。
2025年度のPB黒字化目標に固執するのではなく、「ベースラインケース」のように、現実的な目標を設定し、具体的な歳出・歳入改革を行うべきと
提案しました。

○岬委員 皆様、お疲れさまでございます。日本維新の会、岬麻紀でございます。

 本日は、先ほどまで質疑に立たれました日本維新の会の住吉議員の引継ぎもございますが、本日、財政健全化、プライマリーバランスについて、そして時間を見ながら租税特別措置について質問をしてまいりたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、まず、財政健全化、プライマリーバランスについて質問をいたします。

 令和四年十二月、政府は、防衛力整備計画を決定し、令和五年度から九年度までの五年間において必要な防衛力整備の水準に係る金額、四十三兆円程度としました。防衛費増額の方針を示したということですが、この賄う財源や、また、令和九年度以降の防衛力を安定的に維持するための財源として、歳出改革、また決算余剰金の活用、そして税外収入を活用した防衛力強化資金の創設、そして税制措置等、歳出歳入両面において所要を講じていくということだと思います。

 まず、この防衛費増額について、プライマリーバランスへの影響、政府はどのように御見解でしょうか。教えてください。

○井上副大臣 お答えいたします。

 先ほど財務大臣からも、住吉委員の御答弁にも触れることになるかというふうに思いますけれども、本年一月に発表されました内閣府の中長期試算におきましては、防衛力強化について、防衛力整備計画等に沿って、必要な防衛力整備の水準に係る金額が措置されるとともに、同計画の財源確保に関する所要の措置も並行して講じられていると想定されておりまして、そう承知しております。

 こうした前提の下で試算を行った結果、力強い成長を実現し、今後も歳出効率化の努力を継続した場合には、前回の試算時、二〇二二年七月同様に、二〇二五年度、国と地方を合わせたプライマリーバランスが黒字化するという姿が示されております。

 財政規律の観点からは、従来より、真に必要な財政需要に対応するため、恒久的な歳出を大規模に増加させる場合には、これに対応した安定的な財源を確保することで個別に対応してきております。今般の防衛力の抜本的強化についても同様の考え方で対応したところでありまして、今回の中長期試算にも反映されているものと考えております。

○岬委員 ありがとうございます。

 今、目標ということで計画を立てていただいているということは分かりましたけれども、岸田内閣総理大臣は、施政方針演説におきまして、防衛力強化に係る財源に関して、令和九年度以降、毎年度四兆円の新たな安定財源が追加的に必要となりますが、歳出改革、決算余剰金、そして税外収入の確保など行財政改革の努力を最大限に行った上で、それでも足りないとき、これは四分の一程度、一兆円強というふうに算出されていますが、将来世代に先送りすることなく、今を生きる我々が将来世代への責任として対応する旨を述べていらっしゃいました。

 追加の財源として国債には頼らないという方針かと推察するわけですけれども、一方、防衛力整備のために、防衛費の一部に建設国債を活用することですとか、決算余剰金を防衛費に充てるとか、これまで決算余剰金を補正予算で財源として活用していることもあります。それを防衛財源費に回すとすれば、その分赤字国債の追加発行になるのではないかと考えるわけです。このため、防衛費増額、プライマリーバランスに影響を与えるという指摘も実際にございます。

 このような指摘がある中で、今国会冒頭の財政演説、おとといの当委員会における所信表明においても、二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化目標等の達成に向けて、歳出歳入両面の改革を着実に推進すると述べられました。

 そこで、質問です。

 政府はこのように、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化目標を堅持していらっしゃるような印象を持ちますが、率直に、この目標を堅持している理由、どのところにあるんでしょうか。大臣、伺えますでしょうか。

○鈴木国務大臣 財政健全化に向けましては、累積する債務残高を中長期的に減少させていくこと、これが重要でありまして、骨太の方針において、国、地方のプライマリーバランスを二〇二五年度に黒字化すること、これにより債務残高対GDP比を安定的に引き下げること、これを政府の方針として定めているところでございます。

 これを堅持する理由ということでありますけれども、政府としては、市場や国際社会における中長期的な財政の持続可能性への信認を確保できるよう、財政規律を守るためにこうした目標を定めること、これは重要であると考えておりまして、責任ある経済財政運営に引き続き努めてまいりたいと思っております。

○岬委員 ありがとうございます。

 今大臣からも中長期の試算というところでお答えいただいているんですが、結局は、達成の見込みがあるから目標は変えないということなんでしょうか。いま一度お願いいたします。

○鈴木国務大臣 率直に言って、高い成長率と今までの歳出改革、これをきっちりやっていくということで、その道のりは、正直言って、そうたやすいものではないと思っております。

 しかし、示された試算によれば、これはその二つをしっかりとやっていけば達成できる、そういう姿が示されておりますので、これはしっかりと政府としてこれに向かって目標を進めていって、財政健全化につなげていきたい、そういうふうに考えています。

○岬委員 ありがとうございます。

 たやすくないとお答えいただきましたけれども、数字上は操作をすることは幾らでもできるのではないかというふうに考えるわけです。それを思いますと、なぜ目標をそんなに堅持して、まあ、もう少し柔軟に、達成しやすい現実的な目標を掲げることも一つではないかと思うんですが。

 そこで、目標を変えられないのはなぜなのかなと考えてみました。幾つかあるんですけれども、例えば、財政健全化に対する姿勢が後退したと受け止められることを避けたいであるとか、二つ目に、国内外の信認がなくなってしまうことを懸念されているとか、三番目には、財政規律の歯止めが失われてしまう、これらが挙げられるのか、ほかの理由があるのか分かりませんが、とにかく、デメリットとして挙がってくることを避けたいのではないかと思うんですが、この辺りはいかがでしょうか、大臣。

○鈴木国務大臣 繰り返しになりますけれども、先ほど私が申し上げましたとおりに、この目標の達成、これは容易ではありませんけれども、努力すれば決して実現不可能なものではない、そういうふうに考えているところでございます。

 政府として、市場や国際社会における中長期的な財政の持続可能性への信認を確保する、そのためには財政規律を守るということでございますので、この達成を努力すれば可能であるという姿が示されておりますので、これをしっかりと堅持していくことが責任ある経済財政運営につながるものと考えています。

○岬委員 ありがとうございます。

 一月二十四日の経済財政諮問会議において内閣府が公表した中長期経済財政に関する試算では、将来の国と地方のプライマリーバランスに関する試算が示されています。これが成長実現ケースというものです。この中には、二〇二四年度以降の国内総生産が、物価変動を除いた実質で二%程度、名目で三%程度増えることを前提とする成長実現ケースであり、二〇二六年度にプライマリーバランス黒字化で達成できると見込んでいるわけです。さらに、これまでの歳出効率化の努力を継続した場合に、二〇二五年度の黒字化という財政健全化の目標の達成も視野に入るとされています。

 しかし、前提となる成長実現ケース、潜在成長率が足下の〇・五%程度から二%近くまで高まり、企業の技術革新などを反映する全要素生産性が一九八二年度から一九八七年度並みに上昇する、そういう想定になっているんです。これはかなりな難易度で、現実離れしているんじゃないかなと感じるんです。

 なぜならば、名目成長率が三%を超えたという実績は、過去二十年間においてたった一度しかありません。この奇跡的なというか、はるかに上回る経済成長をしなければ、試算、どこまでこれは意味があるのかな、現実的にどうなのかという疑問が残っております。

 いろいろなところでそれを、懸念はありますし、また、楽観的であり、根拠に乏しいという指摘もございます。この見解、内閣府はどのようにお考えでしょうか。

○中澤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の中長期試算ですけれども、経済再生と財政健全化の進捗状況を評価するということとともに、今後の取組に資する検討に必要な基礎データを提供するということを目的としております。その観点から、成長実現ケースとベースラインケース、二つのケースを示してございます。

 ベースラインケースといいますのが、経済が足下の潜在成長率並みで推移するという姿である一方で、成長実現ケースにつきましては、政府が掲げる政策、例えば人への投資ですとか成長分野への投資拡大、こういったものが効果を発現する姿を示したという性格を持ってございます。

○岬委員 少し回答がずれているかなという印象があるんですけれども。

 では、鈴木大臣にお聞きします。

 率直に、このような成長実現ケースの試算、必要性や意義、どんなところに感じていらっしゃいますでしょうか。余りにも、絵に描いた餅というか、奇跡的な、希望的な観測ではないかなというふうに私は感じますが、いかがでしょうか。

○鈴木国務大臣 これはあくまで、内閣府において出された数字、その中で、二〇二五年度においてPBの黒字化が、厳しい道のりではあっても、努力することによって実現可能だという姿が示された、こういうことでございます。

 そして、御指摘の中長期試算、これは、過去の実績や足下の経済トレンドを基に、内閣府の計量モデルを基礎として、二〇三二年までの十年間の経済、財政の姿を示した試算でありまして、経済再生と財政健全化の進捗状況を評価することを目的としているもの、そこに先ほど申された姿が示されたということであります。

○岬委員 それでは、実現ができるということでお進めいただくということなんでしょうか。

 それでは、これまでの歳出効率化の努力を継続するというふうにお答えいただきましたけれども、具体的に、では、どのような努力をいつまで継続して、実際には、毎年度、どの程度の歳出削減効果を見込んでいるんでしょうか。具体的にお答えをお願いいたします。

○中澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の中長期試算におけます、これまでの歳出効率化努力を継続した場合でございますけれども、過去の実績も踏まえまして、いわゆる歳出の目安に沿った予算編成が行われることによる効果ということでございまして、歳出自然体といいます、物価上昇ですとか高齢化、こういったものを想定した歳出自然体の伸びからのプライマリーバランスの改善効果、これは一年当たり一・三兆円という想定でございますが、それが二〇二四年度、二五年度と継続した場合の姿ということで示してございます。

○岬委員 今の御回答ですと、自然体ということですから、自然にそうなればいいなというところで、私が今お聞きしたのは、そこではなくて、歳出効率化の努力という言葉を使われていますから、努力とは具体的にどのような努力であり、それをいつ頃まで継続をされ、それをした結果どうなっていくのかということを聞いております。

○中澤政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと繰り返しになって恐縮ですけれども、歳出効率化努力につきましては、いわゆる歳出の目安に沿った予算編成を行うということをもってして、そうではない場合に比べてPBが改善するという効果を示したものでございまして、金額的には一年当たり一・三兆円という想定で置いてございます。

 これも繰り返しですけれども、それが二〇二四年度、二〇二五年度と継続した場合ということで想定を置いて計算をしてございます。

○岬委員 それが努力となるのかは疑問が残るわけですけれども、一方、先ほど触れられましたベースラインケースというものを見ていきたいと思います。

 この中長期経済財政に関する試算において、日本経済の潜在成長率が現在のゼロ%台半ばの状況が将来にわたって推移する、これがベースラインケースと呼ばれるもう一つの想定であります。この試算では、プライマリーバランスは赤字を脱することはできない、そして、試算期間の最終年度である二〇三二年度に向かうにつれて緩やかに悪化するというものでございます。

 現在の経済状況を鑑みれば、現実味を帯びているのは、まさに、さきに申し上げた成長実現ケースではなくて、こちらのベースラインケースだと思うのが自然ではないかと多くの方が感じるのではないかと思いますが、鈴木大臣、そこは率直にどのようにお感じでしょうか。

○鈴木国務大臣 繰り返しになりますけれども、この目標達成、これは容易ではありませんけれども、努力すれば、このベースの高い方の成長実現ケースで想定しているような力強い経済成長、これは努力すれば可能であると。

 それから、一方における歳出削減の努力につきましても、先ほどお話がございましたように、予算編成の目安、例えば、社会保障費につきましては高齢化率の枠内に収める、非社会保障費につきましては、今までは三年間で〇・一兆円、これは物価の動向等もございますので、それで引き直して、今は一年間で一千五百億円、そこの枠内に収めるという努力、これをすれば、これは決して実現不可能なものではない、そのように考えております。

○岬委員 容易ではないとお認めつつ、そこはやはり固持していくという感じなんですけれども。

 一月二十五日、朝日新聞の記事において、防衛費増額の財源として余剰金などを盛り込んだが、その見積りも妥当性が問われるであろう、増税もできるかどうかも分からない、世界経済の減速懸念も高まっており、高い経済成長には疑問符がつく、これまで以上に不確実な要素が増えているという指摘が、財政の分野での有識者である一橋大学佐藤教授もおっしゃっています。

 また、岸田総理御自身も、一月二十四日の経済財政諮問会議におきまして、成長実現ケースで示された成長率が実現し、これまでの歳出改革努力を継続した場合には、プライマリーバランスが二〇二五年度に黒字化する姿が示されたものの、一方で、不確実性が高まる中、こうした姿が実現することは容易ではないと。

 皆が認めていることを、どうして目標をもう少し柔軟に見直すというアクションにはならないのかが不思議なんですけれども、現在の二〇二五年度の黒字化という目標を固持するのではなくて、より現実的な目標に修正した上でそれを達成していくことが、具体的な歳出歳入両面の改革、明示していくべきではないかと思いますが、いま一度、鈴木大臣、いかがでしょうか。

○鈴木国務大臣 総理の御答弁のとおりに、不確定要素が多いということ、これは事実であり、また、この目標の達成は、先ほど来申し上げているとおりに容易なものではありませんけれども、政府としては、市場や国際社会における中長期的な財政の持続可能性への信認が失われることのないように、PB黒字化目標を堅持することを示すこと、これは重要なことでありまして、今後とも、責任ある経済財政運営に努めてまいりたいと思っております。

○岬委員 私ども日本維新の会の維新八策二〇二二にも、このプライマリーバランスについて記入がございます。現実的な黒字化の目標期限を再設定して、その上で、経済成長、歳出削減、そして歳入改革のバランスの取れた工程表を作成して、増税のみに頼らない成長重視の財政再建が行いたい、行っていくべきであるということを明示しております。

 それでは、今後の展開についてお聞きしていきたいと思います。

 岸田総理が打ち出しました異次元の少子化対策では、児童手当ですとか児童保育サービスの拡充など、検討が始まります。実現には数兆円単位での財源が必要になるとも思われます。この財源を国債に頼るならば、プライマリーバランスの黒字化達成、更に更に遠のくのではないでしょうか。

 少子化対策の財源として、国債の活用については、鈴木財務大臣も先日の二月三日、予算委員会におきまして、確実な償還財源を確保せず国債を発行するというのは、今以上に借金を子供世代に背負わせることになる、責任ある財政運営とは言えないと述べていらっしゃいます。本日もそのような御答弁もあったかと思われますが、国債の発行に関して慎重であることは理解をしております。

 しかし、少子化対策に大規模な財源が必要であるとすれば、結果的に国債を頼らざるを得ない状況にはなり得ませんでしょうか。

 そして、先ほど御紹介をされました中長期の経済財政に関する試算について、少子化対策の予算の増額、この影響については考慮されていないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○鈴木国務大臣 子供、子育て予算、それからその政策でありますけれども、御承知のとおりに、三月までに小倉大臣の下で、何が子供、子育て政策として必要なのかというものを取りまとめて、それを六月の骨太の方針で具体化をし、その中で、子供予算の倍増についての道筋といいますか大枠を示すというのが今の政府のスケジュール感でありまして、したがいまして、六月のその中において大枠を示すということで、その安定的な財源をどこに求めるのかというのはこれからの検討次第である、そういうふうに思っております。

 そういう中で、いろいろな社会保障制度との関係、あるいは国と地方の関係、公平性の観点、そういった様々な論点があると思いますが、そういうようなことを検討する中で、こうした安定的な財源、恒久的な措置には恒久的な財源が必要であるというのが我々の考えでありますので、そこに考えられていくんだと思います。

 そして、今回の内閣府の試算の中には、子供政策に対する予算というもの、それは、まだ決まっていませんので、反映されていないと理解しています。

○岬委員 さらに、経済、物価の状況によって、日本銀行が今後金融緩和策の修正をするという可能性もあるかと考えられます。この場合、長期金利も上昇しますと国債の利払い負担も膨らむということは当然ながら想定され、考えられるということです。

 このように、今直面している少子化問題への対策であるとか、起こり得る長期金利による国債の利払いの増加など、現時点で想定できるものだけではなくて、絶え間なく変化をしていくわけです。経済の、社会経済情勢を受けて追加の政策も必要になることもあるでしょうし、問題への対策を緊急的にも求められたりすることも考え得ます。今後の予見できない事柄、様々な経費が生じてしまうのではないでしょうか。

 こうした中で、本当に二〇二五年度の黒字化目標を達成できるのかと、聞けば聞くほど不安になるんですが、いかがですか。鈴木大臣、お願いします。

○鈴木国務大臣 先生御指摘のとおり、それは不確定要素が多くあるということ、それは先ほども私も認めているところでございます。

 しかし、そうしたような様々な不確定な状況はありますけれども、元に戻りますけれども、今般、内閣府で示されたこの試算におけば、二〇二五年度のPB黒字化というのは容易なものではないですけれども、努力をすることによってそれは実現可能であると。そして、こういうことの目標を堅持するという姿を示すことが、市場において、あるいは国際社会において日本の財政の信認を守るということにつながる、そのためにもこの目標を堅持して頑張らなければいけない、こういうふうに思っています。

○岬委員 今の御答弁をいただいていた中に、そうすると、先ほど私が申し上げた、この目標を固持していて、固持せざるを得ない、なぜならば、デメリットを言ってしまうといけないからというところに結局戻っていってしまうと思うんですね。それを固持し続けていくことによって信認を得ていくんだという、今発言がありましたので、結局、そのデメリットを懸念されて修正できないのではないかなという結論になってしまうんですけれども。

 さらに、鈴木大臣、所信表明で、日本の財政は、これまでの新型コロナウイルス感染症への対応や異次元での補正予算の編成等により、過去に例を見ないほど厳しさを増していると、やはりおっしゃっています。さらに、財政は国の信頼の礎であるともおっしゃっていますし、責任のある経済財政運営をしていく必要もあるとおっしゃっています。

 であれば、やはり、夢や目標が大きく高いものであるというのは非常に重要ではありますけれども、それは国の経済や財政では当てはまるのでしょうか。現実的な、実現ができることを、きちんと未来を見据えて実現可能な目標を設定していくことこそが、やはり、信頼を、信認を得られるのではないかと思いますが、いま一度、確認のために、大臣、お願いいたします。

○鈴木国務大臣 例えば成長実現ケース、成長実現ライン、これを実現するために、今、岸田内閣として、新しい資本主義の下、様々な施策を打ち出して、安定した経済成長の軌道に乗せるべく、今、進めているところでございます。

 そうした政策というものが経済の成長につながる、上の方の成長ラインの方の成長を実現していく、それによってPB黒字化も可能になっていく、こういうことで努力をするということでございます。是非、この点は理解をしていただきたいと思います。

○岬委員 もちろん理解はしたいですけれども、ベースラインケースというのもあるのであれば、そちらもしっかりと併せて、目標の見直しも必要なのではないかということも述べたいと思います。

 それでは、続きまして、少しだけお時間がございますので、触れていきたいと思います。租税特別措置についてでございます。

 この租税特別措置については、昨日の本会議でも、日本維新の会、住吉議員からも、法人税関係の特別措置ですとか、特別措置の総量規制など質問をしております。

 防衛費増額に当たりまして国民の負担を求める前に、不要になった、効果の見込めない措置について廃止をするなど、徹底した、本気での、既得権益、ここに切り込んでいく必要があると思いますし、少なくとも、そうした姿勢を見せることこそが必要なのではないか、国民の理解を得られないのではないかと思っております。

 この租税特別措置というもの、まずは、総数が幾つあって、そしてこの措置で減収額、どれくらいになっているのか、そこから伺いたいと思います。お願いいたします。

○井上副大臣 お答えいたします。

 喫緊の数字でそれぞれ御報告をさせていただきたいと思います。

 令和五年一月時点での租税特別措置の措置数につきましては、全体で三百六十六項目ありまして、うち、法人税関係が九十八項目、それ以外の項目が二百六十八項目になっております。

 法人税関係の租税特別措置による減収額につきましては、各法人からの提出書類を集計した租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告を基に推計したところ、令和三年度におきまして一兆九千億円程度になっております。

 また、法人関係以外の租税特別措置による減収額につきましては、令和四年度予算ベースで試算したところ、租税特別措置による増収額を差し引いて、四兆八千億円程度と見込んでおります。

○岬委員 こういったところをしっかり見直すことこそが非常に重要であると、今お聞きしていても思いました。

 もちろん、法人税、令和三年の実績の数、また法人税以外は令和四年度の予算の推定額ということですから、簡単に、単純に足せばいいというものではないかということは理解をしております。

 この租税特別措置については、いろいろな問題も指摘されております。

 例えば、効果が検証されないまま温存されているものが多いであるとか、どんな企業が制度を使ってどのような効果が出たのか検証できるような透明性がいま一つである、これは高めていく必要があるであろうということです。それから、税負担を優遇しておいて効果を十分に検証されていない、これは重大な問題である、それぞれが有効であるのか、また根本から見直すべきではないか、こういった意見が多数あります。

 昨日の本会議において、租税特別措置については、特定の政策目的を実現するために有効な手段となり得る一方で、税負担のゆがみが生じる面もあることから、継続ありきではなく、必要性や政策効果をよく見極めた上で、必要な見直しを行っていくことが重要という答弁もございました。

 まさにそのとおりであると思いますし、一刻も早く徹底した見直しが必要であると思います。その必要性や政策の効果、どのように検証されているんでしょうか。具体的に教えてください。

○井上副大臣 お答えいたします。

 租税特別措置につきましては、毎年度の税制改正プロセスにおいて、各省庁の税制改正や既存制度の延長を要望する場合には、その制度の効果等について、まずは政策を所管する各省庁において、財務省が実施する租特透明化法に基づく適用実態調査の調査結果も参考にしつつ、その必要性や政策効果について適切に評価をするなど、しっかり説明責任を果たしていただく必要があると考えております、各省庁ごと。

 様々な措置がある中で、一律にその費用対効果を検証する方法を確立することは困難ではありますが、今後とも、租税特別措置の適用実態調査、ツール等を活用するとともに、各省庁においてしっかりと政策効果の検証に努めるように求めつつ、引き続き不断の見直しを行ってまいりたいというふうに思っております。

○岬委員 各省庁にまたがっていて、とても複雑で煩雑になっている、ですから検証も大変困難である、そういうことなのではないかと思います。そうであるならば、いずれにしても、分かりやすく、そしてもう少し簡単にしていく、そういった整理が必要なのではないでしょうか。税体系自体を分かりやすくしていくというのは、今後、大変必要なことだと思います。

 それでは、時間も迫っておりますので、これが最後の質問になるかと思います。

 いずれにしても、国民の負担を求める増税の前に、このような租税特別措置の見直しであるとか廃止、さらには徹底した歳入改革を進めるべきだと考えています。それをせずして次には進めません。また、理解を得ることもできません。

 鈴木大臣、この辺り、いま一度、いかがでしょうか。

○鈴木国務大臣 防衛費の抜本強化につきましては、常々お話をしておりますとおり、税外収入でありますとか、また剰余金の活用でありますとか、それから徹底した歳出削減でありますとか、そういうことをかなりぎりぎり、できるところはしているところでございます。

 そうした前提となります努力を国民の皆さんに是非御理解をいただくように我々としては努めなければならない。そして、そうした努力をした上で、なおかつ足りない四分の一について税制をお願いをしなくてはいけない。税制でお願いするということを言う以上は、その前提となる様々な工夫、努力、そういうものを御理解いただけますように、国民の皆様に丁寧に説明をしていくことが重要であると考えております。

○岬委員 ありがとうございます。

 是非、堅実に、既得権益などがないように、しっかりと切り込んでいただきたいと思います。増税なしで何とか進めていただけるような、そういった確保をお願いしたいと更に思っております。よろしくお願いいたします。